はじめに
本記事では、競馬のオッズはどのように計算されるかを図を示しながら説明します。さらに、オッズの仕組みを知ることでどのように馬券に生かすことができるのか、馬券力アップにつながる方法も解説します。
オッズとは
オッズとは馬券が当たったときに、何倍になるか、いくら返ってくるのかを示したものです。テレビや記事などで使用されるオッズの伝え方は2通りあります。
倍率に基づいたオッズ
一般的にオッズと言えば、これを指すことが多いです。オッズ2.5倍なら的中すると賭けた金額の2.5倍になって返ってきます。
100円を賭ければ250円、1000円を賭ければ2500円になります。
競馬場のモニターやアプリの表示ではこの形式になっていることが多いです。
払戻額に基づいたオッズ
~円という形で伝えられるオッズです。これは、馬券の最低購入金額である100円を賭けたときにいくらになって返ってくるかを示しています。もちろん、1000円を賭けて当たった場合その10倍の額が返ってきます。
オッズの計算式
では、オッズはどのように計算されるのでしょうか。JRAのホームページでは次のように示されています。
払戻対象総額を求める計算式
(W+D/P)×R
W:当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額
D:出走した馬であって勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額
P:勝馬の数
R:JRAが投票法ごとに定めた率
非常に難解な書き方がされていますね。そこで私なりによりシンプルにしたものが以下の式です。
オッズを求める計算式(簡単バージョン)
(売上総額)/(的中馬券の売上)×(払戻率)
非常に簡単になったのではないでしょうか。厳密ではない部分はありますが、オッズの決まり方についてイメージしやすくなったと思います。それでは、計算式について詳しく解説していきます。
売上総額とは言葉の通り、馬券購入金額の合計で、馬券の種類ごとに分けて計算します。
的中馬券の売上とは的中した馬券を買われた合計金額を意味します。要するに、的中した人たちで、賭けた額に応じた分配を行うという意味です。
払戻率は単勝・複勝の80%からWIN5の70%まで馬券の種類によって異なります。各券種の払戻率は以下の通りです。
単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 | 3連複 | 3連単 | WIN5 |
80.0% | 80.0% | 77.5% | 77.5% | 77.5% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 70.0% |
簡単な例で計算してみよう
計算式だけではイメージがつきにくいと思いますので具体例で解説します。
4頭立てのレースで1~4番の馬にそれぞれ4~1人の人が単勝1000円を賭けたとします。この場合のオッズを計算してみましょう。
まず売上総額は1000円×10人ですので、10000円です。
次に単勝の払戻率は80%なので、総額の10000円×0.8=8000円が参加者に還元され、残りの2000円は控除となり運営元の利益になります。
最後に、それぞれの馬の投票数で割ると1人あたりの払戻額が計算できます。例えば1番の馬が勝った場合、4人で分配することになるので、8000÷4=2000円が払い戻されます。
つまり、1000円を賭けて2000円になるのでオッズは2.0倍になります。
同様の計算で各馬のオッズを求めることができます。
ただし、小数点第2位以下は切り捨てとなるので注意しましょう。
当たり前ですが、人気の馬のオッズが低く、人気が無い馬のオッズが高いことを計算で示すことができました。
応用編:複勝オッズはどのように決まる?
次に、複勝オッズの計算方法を説明します。複勝とワイドは事前のオッズ発表の際に、1.2~1.6のように、幅がある値で表示されています。
これは当たり馬券が複数組あるためです。例えば8頭以上の場合、複勝では1~3着のいずれかの着順に入れば的中ですので、当たり馬券は3通りあります。
そのため、先ほどの簡単式で計算はできないので、JRAが発表している複雑な計算式を使います。
払戻対象総額を求める計算式
(W+D/P)×R
W:当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額
D:出走した馬であって勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額
P:勝馬の数
R:JRAが投票法ごとに定めた率
数式を眺めていても分かりにくいので、先ほどと同様に4頭立てのレースで1~4番の馬にそれぞれ4~1人が複勝1000円を賭けた例で説明します。
ケース① 1番と2番の馬が1、2着になった場合
まず、4頭のレースですので、複勝の対象となる馬は1、2着馬の2頭です。これが、先ほどの式のPに該当します(3頭の場合もP=3で計算できます。)。
まず、外れ馬券を2分割します(D/P)。この例では外れ馬券が3000円分なので1番と2番に1500円ずつ分配します。
次に、払戻率をかけ、運営元の取り分である20%を除いた80%をそれぞれ残します。
最後に、賭けた人数で分割します。この例では1番の複勝オッズは1.1倍、2番は1.2倍になりました。
ケース② 1番と4番の馬が1、2着になった場合
次に、最低人気である4番の馬と1、2着になった場合を考えます。
まず、外れ馬券を2分割します(D/P)。先ほどの例では外れ馬券が3000円分でしたが、今回は5000円なのでそれぞれに2500円ずつ分配します。
これ以降の手順は先ほどと同じく、払戻率をかけ、運営元の取り分である20%を除いた80%をそれぞれ残します。
最後に、賭けた人数で分割します。この例では1番の複勝オッズは1.2倍、4番は2.8倍になりました。
複勝オッズはなぜ1つに決まらないか
この2つのケースで計算をすると次のことが言えます。
- 人気の馬のオッズが低く、人気が無い馬のオッズが高い
- 同じ馬の複勝を買っても、他の3着以内(2着以内)の馬の人気でオッズが変化する
- 人気が無い馬と一緒に3着以内(2着以内)に入着した方がオッズが高い
1つ目は単勝などの他の馬券と同様に当たり前のことです。
2つ目以降については、外れ馬券の金額が変化するため、オッズにも変化が生じます。つまり、人気の高い馬の馬券が外れると外れ馬券の金額が大きくなるため、払戻額も大きくなります。
先ほどの計算から1番の馬の複勝オッズは1.1~1.3倍となります。
以上の理由から的中数が複数ある複勝とワイドの馬券はオッズが変化します。
オッズの計算は覚えるべきか
ここまで、オッズの計算方法について説明してきましたが、競馬を続けるためにはこの計算をマスターする必要があるのでしょうか。
私は競馬する上でオッズを計算できる必要は全くないと思います。
実際に私も競馬を始めてから数年間は理解していませんでしたし、細かいルールについても本記事を書くにあたって調査したところです。
ただし、オッズを見て行き過ぎた人気ではないか、反対に人気がなさすぎるのではないかといった考察は馬券力アップに必要だと思います。
そこで、超簡単な私なりのオッズの見方を紹介したいと思います。
馬券に生かすオッズの見方
私が普段から意識をしているオッズを確率に変換する方法を紹介します。単勝の馬券を買うときは以下の式を意識しています。
オッズと確率の関係
(予想した勝率[%]) × (単勝オッズ) > 1
身近な例として、コインの裏表を当てるゲームを考えてみましょう。コインに歪みがないとすれば、勝率は50%です。したがって、このゲームのオッズが2倍より大きければゲームに参加するべき、2倍より小さい場合は参加すべきではないということは直感的に理解できると思います。
競馬に置き換えると単勝オッズが2.0倍の場合、その馬が勝つ確率が50%より高いと考えれば、馬券を買うべきですし、50%に満たないと考えれば絶対に買うべきではありません。
もちろん、自分の予想を勝率として落とし込むのは難しいです。しかし、中長期的なプラス収支を目指すのであれば、この視点は必要不可欠です。
また、この視点を意識することで、過剰人気や過小評価に気づける訓練になるとおもいます。ぜひ皆さんも、確率とオッズを意識して馬券を考えてみましょう。
まとめ
本記事ではオッズの計算方法と馬券への活かし方を紹介しました。特に、複勝やワイドのオッズ計算は難しいので、覚える必要はありませんが、オッズから過剰人気、過小人気を評価できるようになることが馬券力アップに向けて大切です。
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